田舎と都会の衝突「はるか遠い日」

はるか遠い日 Thời xa vắng 1986
著者:レ・リュー Lê Lựu
●あらすじ
 ハノイから少し離れた田舎のハピ村に住む優秀な少年サイは、早婚の妻となじめず、同級生のフォンを好きになるが、家族が体面や相手の家を気にして離婚できない。
 サイは家がいやで戦争に行き、文章を書き教師として有名になり、職を得てハノイに住み妻と離婚する。そして美しいハノイっ子チャウと再婚、家事にいそしむが、結局離婚して、村にもどって暮らす。
●コメント
 サイの村の人々は、はじめは日雇いをしてその日暮らし(米はなくてとうもろこし団子が主食)、その後社会主義化で自立を目指し、うまくいかなくて食べ物に事欠き、と暮らしていきます。本当に大変です。
 小説なので誇張されていると思いますが、村出身のまじめなサイの習慣と、都会のハノイのチャウの習慣は、ことごとくぶつかります。高度成長期の田舎と都会の異文化衝突ですね。しかし、ベトナム男子はほんとに家事をよくやりますね。
はるか遠い日 あるベトナム兵士の回想(アジアの現代文学) 出版社: 訳者:加藤 則夫  紹介ページ
写真は映画「はるか遠い日」