ベトナムのからゆきさん

ando-sei.jpg名古屋で良質な本を出版している風媒社という出版社がありますが、そこから出ている中部大学ブックレット 青木澄夫著「放浪の作家 安藤盛(あんどうせい)とからゆきさん」という本を読みました。本が高い中、内容が豊富で1冊1000円と、お値打ちな本です。
安藤盛は戦前のジャーナリスト・作家で、海外で調査などの仕事をして、その後台湾や印度支那を舞台にした短編、長編、ノンフィクション、少年向け作品を書いていましたが、45歳の若さでなくなってしまいます。
「祖国を招く人々」「南洋の裸人群」「南洋記」「海賊王の懐に入る」など彼が書いた本はありますが、「黎明の鐘は鳴る」というベトナムを舞台の小説は、そのまんま久米正雄という当時の有名作家に「安南の晩鐘」と言う名で盗作されてしまったそうです。原稿も筆跡も安藤盛の書いたものなのに、安藤盛が抗議したら、反対に「おまえこそ盗作だ」とつぶされてしまったとか。ひどいですね~。
また彼は良質な石炭で有名なホンゲーの日本人娼家や、リゾート地ドーソンの富豪の別荘などの様子も書いていて、当時の様子が少しわかります。
「放浪の作家 安藤盛(あんどうせい)とからゆきさん」
青木澄夫著 風媒社 2009年 
風媒社のページ 写真も