タックラムとルポ「ハノイの夜」
タックラムと「ハノイの夜」
「ハノイの夜」は人気ルポルタージュであったようで、フォンホア誌の常に2面に掲載され、終了後には、「フエの夜」というシリーズも続いています。しかし一方で、夜の女性の世界を書くことに賛否両論もあったようで、タックラムは途中で「ハノイの夜の倫理」という特別記事も掲載しています。
その中で彼は、フランスの作家ポール・ブールジェ[小説「弟子」「嘘」「死」の作者]の言葉を引用し、「倫理を口実にし、人生を観察しないことはできない」と述べ、「ハノイの夜は、夜の女性達についての真実を描いたルポルタージュであり、実際に聞いて、会って書いたもので、うそではない」、「色々調べてみて、彼女たちは同情すべきであることがわかった。このような辛酸と困苦に冷淡に平然としている、それは人道に反している」と述べます。
後にタックラムはハノイ36通りの随筆を書きますし、貧しい娘を主人公にした小説も書きますが、この「ハノイの夜」なくしては、それらを書くことはできなかったと言えるでしょう。
またハノイの夜の筆者はViệt Sinh(Thạch Lâmの別名)とTràng khanhとなっています。当時の有名作家で、ハノイ36通りにも寄稿したカイフン(Khái Hưng)の本名はTrần Khánh Giưですから、Tràng khanhはカイフンである可能性もありますかね。 どなたかわかったら教えてください