ピエール・ロティとトォンアンの戦い

Pierre_loti_par_henri_rousseau.jpgあらかじめ断っておきますが、今日の話、本題までが長いです。
1 アンリ・ルソーとピエール・ロティ
私、絵は素朴派(Naïve Art)が大好きで、とくにアンリ・ルソーのファンなんです。
今年度は新国立美術館と神戸美術館で、チューリッヒ美術館展がありまして、
そこにルソー作の「ムッシュX(ピエール・ロティ)の肖像」がやって来ます。
このロティさん、日本を舞台にした「お菊さん」などの小説でも有名だそうですが
フランス軍のベトナム侵攻について「フィガロ紙」にルポも書いているそうです。
2 トォンアンの戦いとピエール・ロティ
フランスは1858年にベトナムに侵攻、はじめ南部のコーチシナを植民地とし
カンボジアも保護領にして、1982年にはハノイのある北部トンキン(東京)、
次いで中部アンナン(安南)も保護領にします。
トォンアン(Thuận An 順安)の戦いは、植民地化を推し進めていたフランス軍が
1983年に、中部フエに近いトォンアン湾で起こしたものです。(この辺WIKI英語版の受け売りですけどね)
フランス軍の圧倒的な勝利で(ベトナム側死者2500人)で
その後ベトナムは南部中部北部とも完全に、フランスの支配下となりました。
ピエール・ロティは「trois journées de guerre en Annam」(ベトナム戦争の3日間)という記事で
フランス海兵隊がベトナム人を殺すのを楽しんでいる残虐さを書いて、海軍を首になってしまったそうです。
「偉大な虐殺は今始まった。兵隊は一斉射撃で、何人かのベトナム人がジグザグにコミカルに走るのに
楽しそうに弾丸を敵に念入りに打ち込んだ。 その後、死体を数えてまた楽しんだ。」(抄訳)
ベトナム戦争の3日間 フランス語写真あり
※絵はアンリ・ルソーの「ムッシュX(ピエール・ロティ)の肖像」