夜のハノイその5「西洋人の女」
Thạch lam(タックラム)1933年
ハノイの裏側をルポする「夜のハノイ」その5
夜のハノイその5「西洋人の女」(カックコーメ Câc Cô “Me”)
(Cô Me Tâyはフランス人と結婚したり愛人になる女性のこと)
ハノイの「コーメタイ」の話は大変に興味深いだろう。西洋の文明に出会ったベトナムの娘たちのことだ。
今までとまったく違う西洋の世界にがく然として、はじめは意気消沈したが、やがて彼女たちは西洋の風俗に前向きになった。物の言い方、化粧の仕方、心と体と。そして人々はだんだん慣れてきた。深窓の令嬢や貴族の娘たちも、「コーメタイ」のモードを追いかけた。
はじめは「コーメタイ」のものだった白いズボンに絹の服が娘たちの最新のモードになった。いつか、ハイヒールを履き、皮のポーチをもち、コンパクトを見ながら白粉をはたいて歩くのが、自然になった。髪の毛を短く切って、ハイヒールを履いて、外観が変われば、内面も変わる。もう古い説教の「三従」とか「四徳」に従う必要はない。籐の帽子をかぶった女の子たちなんて、原始人みたいでなさけない。
この「コーメタイ」の影響はどんどん広がっていくだろう。「コーメタイ」は自分では意識していないかもしれないが、新しい方向に社会を進化なせている。
絵は同じ「Phong Hóa」誌に所属の画家Tô Ngọc Vânの「百合の花のかたわらの少女」