わかりにくいけどショック「戦争の悲しみ」

戦争の悲しみ Thân phận của tình yêu(愛の行方) 1991年 著者:バオ・ニン Bảo Ninh
●あらすじ
 高校時代:主人公キエンは、同じアパートに住む美少女フォンとの愛を深めます。
 戦争時代:キエンは戦争に行き、途中までついて行ったフォンと、色々な出来事が起き
      キエンは彼女から去ってしまいます。
 戦後:ハノイに戻ったキエンは、フォンと同棲しますが、うまくいかず別れてしまいます。
 ほかに、戦争やハノイのアパートの数多くの様々なエピソードや体験が語られます。
 (わかりにくかったので、まちがっていたらすみません)
●コメント
 話が戦争中になったり現在になったり、あちこち飛ぶし、エピソードも色々あって、かなりわかりにくい小説です。実験的な現代風の小説と言うことでしょうか。これを課題で訳せと言われたら、主語か誰か分からなくて落第しそうです(ベトナムは相手のとの関係で人称「兄さん」が自分になったり、相手になったりする)。
 しかし、それまでは戦争をがんばろうって小説が多かったですから、戦争のつらさを描くこの小説は、世界の読者にショックを与えたでしょうね。
 英語版から訳した「愛は戦いの彼方へ―戦争に裂かれたキエンとフォンの物語」も出版されていて、訳は正しくはないものの、整理されて読みやすいそうです。
世界文学全集 1-6 戦争の悲しみ 出版社:河出書房 訳者:井川一久  紹介ページ
写真はバオ・ニン VietVao 書名は現在入手可能な河出書房新社の本を紹介