ベトナムリアリズム短編2 しぶいおじいさんと中隊長さん

「白い水牛 Con Trâu Bạc」 著者:チュ・バン Chu Văn(Nguyễn Văn Chử)作者ホームページ
あらすじ
ホックじいさんが世話していた白い水牛は、とても元気に働いていたのに、農業合作社に供出してからというもの、やせ衰えて、さらに殺されそうになっていた。ホックじいさんは、なんとか水牛を取り戻し、また世話をしてやるようになる。
コメント
水牛は田畑を耕し荷物を運ぶ大事な生き物です。Bạcは白銀の色で、黒や茶色でない特別の色って言うことでしょうか。
「中隊長コム Đại Đội Trương Còm 1949」 著者:グエン・ディン・ティ  Nguyễn Đinh Thi作者ホームページ
あらすじ
コム中隊長は行軍中にこう話します。「わたしの身の上は楽しいものではないよ。妻も子もあの40年の飢饉の時死んでしまった。そのころわたしは炭坑で働いていた。8月の総蜂起のあと、部隊に入りずっとフランスと戦いつづけてきた。いまは過去の生活は遠い昔の話さ。もうわずらわしいことは考えないでいる。きっとダンは、わたしをちっとも面白みのない男だと思っているだろう。さあもう眠ろう。」
コメント
野戦病院や戦場の炊事の話が出てきます。戦争が長かったですから、コム中隊長の語るように、ずっと戦争が生活だった人もいるんでしょうね。
世界短編名作選12 東南アジア編  出版社:新日本出版社 訳者:加茂徳治