戦地南部のルポのような短編集 炎の記録

「炎の記録 現代ベトナム短編集」 
●アメリカ飛行士の墓のそばで スアン・ブ 死んで、砂浜に眠るアメリカ人の話
●十七度線にて ブイ・ヒエン 爆撃中も電話交換の仕事をやり遂げようとする人のことなど
●渡し場の親方 ブ・チン・ミ 渡し場を守るホアンの話
●クイラップ病院の廃墟にて ブイ・ヒエン 爆撃された筋萎縮症など重い病気の人の病院の話
●戦陣の村の生活 グエン・キエン 戦場の村の生活(ってそのままです)
●郵便局員 グエン・タン・ロン 電話交換や電報を受け取る郵便局の話
●ハロン湾の大あらし スアン・ブ 湾での戦闘
●初戦をかざる フイ・フオン 発電所の話
●人民の砲手たち スアン・ブ 初心者の少女がうまく砲撃を行う
●ヤンキー アン・デュック 少年の祖母を殺した米兵は、反対に捕まって殺されそうになると、必死に命乞いする。
●サヌゥの森 グエン・チュン・タイン トゥは敵のズンに妻のマイと子どもを殺され、自分の指も失うが、後に復讐する。
●やがて太陽はまた昇る レ・チャウ フーミー村の戦いの話
●ベトナム文学小史 グエン・ディン・チ ベトナム文学の戦後までの歴史の概観
コメント
戦場になっている南部が舞台にしているので、生々しい内容になっています。この頃には毎日戦争で、これが普通のことだったのでしょうね。
特に前半の9作は、小説と言うより新聞のルポのようですが、職業作家でない人達が、記録や日記を書いていたそうです。正直、読みやすくないし、おもしろくもないですが、当時はとにかく書いて印刷することが優先だったのかもしれません。
炎の記録 現代ベトナム短編集 出版社:八潮出版社 1969 訳者:渡部昌 英語