「ベトナム短編小説選」を読みました

Nguyen_Cong_Hoan.jpg時>ベトナム1930~40年代の短編小説集「ベトナム短編小説選」を読みました。訳者は竹内与之助先生と川口健一先生です。
中には3人の作家の6つの短編小説が掲載されています。
1「過ぎし歳月」 著者ニャット・リン Nhất Linh
あらすじ:ザオは、いっしょに勉強している年上の学生ミンの美しい妻が好きだった。7年後に彼女に会いに行くと、彼女の容色は衰え、美しい思い人ではなくなっていた。
コメント:●昔の女は不美人か
日本の戦前の短編にもよくある、美しい人がいたが、何年後にあったときには、美しさが衰え、恋は終わったという話。
そんなに結婚生活で容色衰えるんでしょうか?それとも男のプライド?
恋の気持がさらに強くなったりしないんですか~~?
2「霧の中の人影」著者ニャット・リン
あらすじ:汽車の運転手をしていたチャックが、不思議な人影(蝶の影)を見て、ブレーキをかけ、転覆の難を逃れる。しかしちょうどその時、自宅で妻が亡くなっていた。
コメント●死んだ人は超能力を持つ
ベトナムでは、亡くなったばかりの人は、真実を伝えようとしたり、不思議な力を持つといわれるそうです。
3「あなた、生きて」著者カイ・フン Khái Hưng
あらすじ:ハノイの西湖のほとりイエンフに住む貧しい子だくさんの夫婦の生活を描く。妻はホン川での薪拾いの最中に死んでしまう。
コメント●産児制限
かつては子だくさんが貧乏の原因となるため、日本でも産児制限の運動が行われました。反対も多かったそうです。
4「香江のほとり」著者カイ・フン
あらすじ:香江(フエのフオン川)のほとりに、周囲の非難を押し切って結婚した夫婦が小さな家を借りる。物書きをしたい夫と、夫の任官を期待し始める妻の気持ちがすれ違っていく。
コメント●学歴社会
大学を卒業して、任官の運動をすれば高級官吏になって、お金持ちになれるんですね~。
カイ・フンは当時の人気作家です。
5「車挽きと娼婦」著者グエン・コン・ホアン Nguyễn Công Hoan
あらすじ:おおみそか、車挽きの男が、客の娼婦を乗せて何時間もハノイの街を走り回り、金を払わず逃げられて、とぼとぼ家に帰る。
コメント●売春営業許可
途中金のない娼婦がかわりに体で払うと誘い、恐れる俥夫に、「営業許可」があるからここでやってもいいのだと言います。政府の営業許可があったんですね。
6「役者トゥ・ベン」著者グエン・コン・ホアン Nguyễn Công Hoan
あらすじ:人気役者トゥ・ベンが、重病の父の看護をするが、治療費の借金返済のために、出ることにした芝居の初日に父が死んでしまう。
コメント●看護・介護は息子も含めて家族の仕事
主人公はとても親孝行なのだと思いますが、病人のケアは家族の仕事なのです。
■本の概要
「ベトナム短篇小説選」ニャット・リンほか作 大学書林 ベトナム語対訳  本の紹介
写真はグエン・コン・ホアン Nguyễn Công Hoan WIKI