金雲翹(キムバンキエウ)を読みました

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ベトナム チュノム(ベトナムの字)文学の傑作
グエン・ズー作 金雲翹(キムバンキエウ)を読みました。
訳者は竹内与之助先生です。
■あらすじ
舞台は明の時代の中国です。
1 裕福な家庭で暮らす翹(キエウ)は、
恋人の雲(バン)もいて、幸せに暮らしていました。
ところが翹(キエウ)の父が、雲(バン)が留守の間に
罪を着せられ、家族を助けるために翹(キエウ)は
金持ちと結婚しようとします。ところがだまされて
娼館で働くことになります。
2 翹(キエウ)は逃げようとして、また、だまされたりしながらも
お金持ちでハンサムな恋人(お客さん)ができ、つかの間
リッチで幸せな暮らしをします。が恋人の家のお手伝いさんにされて
出家するなら許すと言われたのですが、やっぱり恋人と
逢瀬がしたくて愛欲に負け、また娼妓をすることに…
3 その後、海賊の頭の愛人になって
自分も偉くなったので、これまでの敵(娼館に売った人とか)に
ちょっと復讐をしたりします。やがて新しい愛人は捕らえられ
翹(キエウ)は尼さんに救われ、尼寺に暮らします。
4 最後
恋人の雲(バン)が、やっと翹(キエウ)を探しだし
最後はお互いプラトニックな「友人」として、暮らします。
■ベトナムでは学校で習います
このお話しは、ベトナムでは学校で習うそうです。
英語ベトナム語対訳の本を見た、ベトナムの女の子が
これを読むと「胸がキュンとする」と言っていました。
始めの「人生100年・・・」という詩も有名ですし
導入部の風景や家、季節の描写も美しいです。
■つっこみどころ
1 「没落した良家の美人」というファンタジー
 他の日本の小説などもそうですが、娼館に
 没落した良家の美人がいるというのが、
 男性のファンタジーのようです。
 貧乏な家出身の賢く美しい少女ではだめなんでしょうかね?
2 身を売ることは親孝行か?
 主人公の翹(キエウ)ちゃんは、割と欲望に忠実、直情的で
 かっこいい男性に、すぐだまされたり
 せっかく奥さんに許してもらって部屋をもらったのに
 だんなさんの誘惑に負けて、追い出されたりします。 
 作者も「これではちょっと」と思ったのか、最後に
 愚かなこともあったが、親のために身を売った親孝行なのだと
 フォローしてくれます。
 しかしこの「親のために身を売る」ことをほめることが
 アジアの人身売買を進めていると批判する人もいます。
 身を売る前には、一度よくよく考えてからにしたいものです。
何はともあれ、たいへんおすすめの小説です。
■本の概要
「金雲翹新伝」竹内与之助訳 大学書林 ベトナム語訳チュノム対訳
  本の紹介
写真は英語版The tale of Kieu