カイフンの小説「蝶魂仙夢」を読みました

大学書林からでている、日越対訳小説
カイ・フンの「蝶魂仙夢」を読みました。
訳者は川口健一先生、竹内与之助先生です。
(ベトナム式に尊敬の念を込めて先生と呼ばせていただきます)
■あらすじ
農業大学で学ぶゴック(男)は、ある事件があって
山寺で僧侶をしている叔父の元を訪ねます。
そこでランという、美しく賢い小僧さんに会って、恋をしてしまいます。
でも、ランは修行の妨げになるといってゴックを拒みます。
あきらめきれないゴックは寺を去りますが
時々、ハノイから自転車をとばしてランに会いに行きます。
なんだか明るい、ハッピーエンドです。
■ベトナムのお寺
精進料理やら戒律にそった生活やら、タピオカ(Sắn)の畑の農作業や
当時の山寺の風景や生活が描かれていて、読んでいてとてもいい気持ちになれます。
北部だし、きっと大乗仏教のお寺ですね。
バックニン(Bắc ninh 大きな町)と舞台のドンチエウĐông triều

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■小説の文体がすっきりときれい
解説にもありましたが、ニャット・リンがほめたと言うくらい、文体がすっきりしてきれいです。
1つの文章が短く、ベトナムの勉強にはぴったりです。
■クォックグーでラブレター
ゴックが、ランにクォックグー(アルファベットを使ったベトナムの文字)が
読めるか聞くと、ランはクォックグーは簡単だからすぐ読めるようになったと言う。
そこでクォックグーでラブレターを書きます。
ランもゴックも漢文ができると思うのですが、
ラブレターにはクォックグーの方がふさわしかったんでしょうか。
■つっこみどころ
この小説、ランが実は元は裕福な家の少女で
女であることを隠して寺で修行しているという設定なのですが
「女である」って、ちょっと無理がありませんか?
胸を布(カン)でおおっても、生理になったらすぐわかっちゃうし・・・。
普通に少年の小僧さんに恋をしてもいいと、思うんですけど・・・。
小説の中でも男でもかまわないって、言っていますしね。
何はともあれ、たいへんおすすめの小説です。
■本の概要
蝶魂仙夢チョウコンセンム Hồn Bướm Mơ Tiên
(蝶の魂はランで仙人はゴックかな)
chua-huong.jpg Khaihung.jpg 
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蝶魂仙夢本紹介