けっこうおもしろいベトナム小説「安南の結婚」

今日は昭和17年に翻訳出版されたベトナムの小説
「安南の結婚」を読みました。
最近、国会図書館の一般公開でないデジタルライブラリーの本が
提携図書館で読めるのですごい助かります。
筆者はTrịnh Thục(Thúc) Oanh(チン・トック・オアン)さん
鄭鶯夫人ともあります。 漢字では「鄭叙鶯」だと高橋廣江が書いています。
Margurit(マーガレット) Triaireともあります。
こちらは共著のフランス人の名前でしょうか。
この方はハノイ中学(今の高校)の校長だったそうですが
「Indochina through texts」が読めたら確認しておきます。
前も書きましたが、この方はハノイ女子中学(今の高校)の
校長先生でアオザイを改良した方と同一人物なのでしょうか?
今度ベトナム人に聞いてみます。
原題は”En s’écartant des ancêtres”
「祖先から離れて」みたいな意味なので、
邦題もせめて「新しい安南の結婚」くらいにして欲しかったなあ。
●あらすじ
ハノイに近い「光の村」に生まれた、活発で賢い主人公は
幸運にも女子中学、師範学校に行くことができ、教師をした後
さらに医学校に進み、産婦人科の医師になります。
初恋のいとこ(医学生)とは引き離され
同窓の学生と結婚して子どもを産み、封建的な彼の実家で彼を助けますが、
彼はフランス留学中に西洋の女性と恋愛、結婚してしまいます。
彼女のお金持ちの親友は、教師がいやで辞めて
夫と仮面夫婦(フランス・ベトナムは離婚が大変)をしながら
様々な人との恋愛を繰り返しています。
もう1人の友人は、かなり年上のだんなさんと結婚して
めっきり老け込んでいます。
いやあ、普通にいいだんなさんと結婚して、仲よく暮らすっていう生活は
ないんでしょうか?まあそれでは小説になりませんけど…。
それに、みんなせっかく師範学校に行くのに、
教師は「つまらなくていやだ」とやめてしまいます。
この教育費の投資、もったいないですよね~。
日本の教育大学でも教師になる人は多くないですが。
>>「安南の結婚」食べ物やダンスホールの話はこちら
出版社は Hanoi:Imprimerie d’Extrême-Orient, 1939
日本では興亜出版社 1942年出版で、とても読みやすい翻訳は関義(せきただし)です。
余談ですが関義は「戦時中にインドシナへ逃避し、戦後に日本に帰還し、『文芸日本』や『円卓』の同人で、住所は岐阜の高山市」なんだそうです。(古本夜話より)